ドローンが捉えた全国の景勝地の風景をシリーズでお届けします。
今回は日光国立公園に位置する那須高原と茶臼岳の風景です。

眼下に那須高原を望む茶臼岳と那須連山

那須ロープウエイの麓駅付近から那須連山と那須高原を撮影。雪面を飛び立ったドローンは120mまで上昇、茶臼岳と那須連山をぐるりと捉え、下に那須高原を望む。山肌を覆っていた雪も溶け始め、高山植物の若芽が顔をのぞかせる。新緑の春は近い。(撮影日:3月24日)

<那須高原と茶臼岳> 

日光国立公園北部を占める那須連山は、主峰茶臼岳(1915m)など“那須五岳”といわれる火山群で構成されています。五岳のなかでも最後にできたのが茶臼岳で、その山頂部には二つの爆裂火口があり、今でも硫化水素や亜硫酸ガスを放出して“無限地獄”とよばれています。茶臼岳の噴火は有史以後もたびたび記録に見られ、近世に入ってからは1881年(明治14)7月の噴火が確認されています。

その南東山麓に広がる那須高原は火山灰に覆われるため耕作に適さず、長い間原野のまま放置されていました。ここに本格的に開拓の手が入ったのは明治以降で、大々的な幹線水路の開削が進められ、酪農や高冷地農業が営まれました。さらに山麓一帯に点在する豊富な温泉を資源に、四季を通じて自然に親しめる高原リゾート地として開発されました。

山間地だけにここの冬は冷涼で、山上から絶えず冷たい風を吹き下ろして山麓に住む人々に厳しい暮らしを余儀なくさせます。雪が消えるのは遅く、高原から山上では遅い年には5月半ばまで残ることもあります。それでも麓で温もりを覚えるようになると、雪の下では草花の開花の準備が始まり、やがて雪が消えるといよいよ高原はミツバツツジやレンゲツツジに彩られ、野鳥の囀りが飛び交います。さらに季節が進んで山上に緑がよみがえると、これまでの厳しく寒々しい光景は一掃され色とりどりの高山植物で賑わいます。

文: 藤沼 裕司 Yuji Fujinuma

フリー編集者、記者。動植物、自然、歴史文化を主なテーマに活動。

音楽: 水城雄 Yu Mizuki

1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。