江戸時代の名所絵をはじめ、風光明媚な景勝地を描いた風景画など、現代にいたるまでの旅にまつえある多彩な絵画およそ200店を展開。200年以前のガイドブックや画家が装丁を手掛けた旅行雑誌といった旅のエトセトラにも注目します。
展覧会概要
本展では、旅にまつわる多彩な絵画およそ 200 点をご紹介します。江戸時代の浮世絵に描かれた、人々がにぎやかに 行き交う宿場町、明治期に海外へわたった画家たちが新鮮な驚きを込めて表した異国の光景、いにしえより描き継が れてきた風光明媚な名所など、旅の魅力がつまった作品が集結します。また、200 年以上前に人気を博したガイドブック『旅行用心集』(八や 隅す み 蘆ろ 庵あ ん 著、1810 年刊行)をはじめ、近代以降の画 家たちが装丁や挿絵を手掛けた旅行雑誌や鉄道のポスターといった旅の“エトセトラ”にも注目します。時代ごとの旅 の様子や文化を映し出す貴重な作品や資料をとおして、その時々に生きた人々が抱いた、旅することへの憧れや喜び に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
会 期:2025 年 7 月 16 日(水)~8 月 31 日(日) ※会期中、一部展示替えを行います
休館日:毎週月曜日 ※ただし 7 月 21 日(月・祝)、8 月 11 日(月・祝)は開館、翌日休館
主 催:茨城県近代美術館 茨城県水戸市千波町東久保 666-1
後 援:水戸市/朝日新聞水戸総局/茨城新聞社/NHK 水戸放送局/産経新聞社水戸支局/東京新聞つくば支局/日本経済新聞社水戸支局/毎日新聞水戸支局/読売新聞水戸支局/LuckyFM 茨城放送
展覧会の見所
■歌川広重から東山魁夷まで役60作家、約200点が集結
初代歌川広重が手掛け爆発的ヒットとなった「東海道五拾三次」の浮世 絵シリーズを筆頭に、横山大観が明治期にインドで出逢った光景を描い た《流燈》(1909年)、旅を創作活動の源とした国民的風景画家・東山魁 夷による北欧連作の一つ《白夜光》(1965年)など、江戸時代後期から現代 にいたるまで、約 60 名の作家、約 200 点による旅情あふれる作品をご覧 いただけます。
■世界から日本、茨城の名所めぐりを疑似体験
展覧会場では絵画をとおして、画家たちが実際に訪れて描いたフラン ス・イタリア・イギリスなどのヨーロッパ、中国・インドなどのアジア といった世界各国の名所めぐりを疑似体験していただけます。また、国 内の景勝地においては、連綿と絵の題材になってきた富士山はもちろ ん、古くから愛されてきた潮来や霞ヶ浦などの水郷、筑波山、袋田の滝 といった茨城ならではの風景も取り上げます。
■エトセトラで楽しむ、旅事情の今昔
現代にいたるまで、数々の画家たちが旅の風景を描いてきたのには、時 代ごとの出来事や社会的な動向が深く関係していたことも見逃せません。 たとえば、明治以降、近代化が進むとともに急速に発達した交通網、昭 和初期に新聞社が主導した日本新八景の選定による名所ブーム、あるい は戦時下における聖地巡拝の流行などは、画家の旅のあり方や創作活動 そのものに影響を与えました。 本展では、旅の“エトセトラ”として、日本初のグラフィックデザイナー として知られる杉浦非水が装丁を手掛けた旅行雑誌『ツーリスト』や、 「大正の広重」と称された吉田初三郎による鳥瞰図の観光案内といった 資料類にも注目しながら、普段の作品鑑賞ではなかなか知りえない、旅 事情の今昔をご紹介します。
■楽しい落語のイベントも
展覧会期間中の8月2日(土)午後2時からは、茨城県を落語で盛り上げようと結成された落語家ユニット 「いばらく」の立川志のぽんさん(石岡市出身)、柳亭市寿さん(取手市出身)をお迎えし、落語と小噺体験 のイベント「美術館寄席 江戸の旅路を笑いにのせて」を開催します。展覧会とあわせて、江戸時代の旅 の風情や文化を感じていただく機会をご提供します。
初代歌川広重《東海道五拾三次之内 庄野 白雨》天保初期(1830 年代) 郵政博物館蔵 ※8/16~8/31 展示
初代歌川広重《東海道五拾三次之内 御油 旅人留女》天保初期(1830 年代) 郵政博物館蔵 ※8/1~8/15 展示
三代歌川広重《東海道名所改正道 中記 旅人留女 亀山 関迄壱り半》 1875 年 郵政博物館蔵 ※8/16~8/31 展示
吉田博《槍ヶ岳》1921-26 年 茨城県近代美術館蔵
横山大観《流燈》1909 年 茨城県近代美術館蔵
三代歌川広重《東海道名所改正道 中記六郷川鉄道 川崎 神奈川迄ニ り半》1875年 郵政博物館蔵 ※7/16~7/31 展示
小杉未醒《水郷》1911 年 東京国立近代美術館蔵
東山魁夷《白夜光》1965 年
東京国立近代美術館









