時間や約束に縛られることもなく、
自由な旅をするかのように、気が向いた場所に足を運び、
雨の日には雨の京都を、曇りの日には曇りの京都を、
また晴れた日には晴れの京都を、写し撮ってみたい。
写真 : 谷口哲 Akira Taniguchi / 文 : 中島有里子 Yuriko Nakajima
竹林に朝の光が染み始める。
まだ日も上りきらない朝、凛とした空気の中を風が吹き、葉のこすれる音がささやくように聞こえる。やがて昇る太陽の光は竹の間を瞬きながら広がっていく。
見上げれば竹の隙間から降る小雨。
小雨の日はほの暗く、しっとりと濃い緑色の世界に包まれる。空を覆う重なり合った葉の間や竹を伝って落ちてくる雨粒が顔にあたると、少しづつ浄化されていくように感じる。
【嵯峨野・竹林の道】
京都市右京区の野宮神社から天龍寺の北側を通り、大河内山荘庭園まで約400mにわたって竹の林が続く。京都の代表的な観光地であり、渡月橋と並んで嵐山のシンボルでもある。四季折々、それぞれの美しさはあるが、毎年12月には、京都・嵐山花灯路が開催され、ライトアップされた幻想的な竹林も見事。
所在地:京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町
アクセス:嵯峨野観光線 「トロッコ嵐山駅](徒歩3分) 京福電鉄 「嵐山駅」(徒歩12分) JR山陰本線 「嵯峨嵐山駅」(徒歩17分)