四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。
人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。
今回は、福岡県柳川市の「雛祭り」です。
文・写真 : 森井 禎紹 Teiji Morii
「色にして、老木の柳うちしだる、我が柳河の水の豊かさ」と歌われる水郷柳川。3月1日から4月3日の約1ヵ月間、雛祭り行事が行われる。その代表が「さげもん」(福岡県柳川市に伝わる風習。吊るし飾りのひとつ)めぐりと「お雛様水上パレードだ。
「ちょっと、よりめさんかも」と声を掛けられる。部屋いっぱいに飾られて、春の柔らかな光の中にゆれている「さげもん」に目を奪われる。
「手まり」や「匂い袋」といった縁起のいいものを組み合わせ、母親はもちろん、祖母の手によって作られ、愛情が込められた「さげもん」が雛壇の天井部に所狭しと飾られる。
また、雛様水上パレードは、水郷川下り乗船場に集合した数十隻の舟に雛様が満載、着物に身を包んだ子どもたちも乗船し、川下りに出発する。川岸に作菜の花や桜の間を進む、風情を感じる風景だ。