山、鉾、屋台などと呼ばれる山車(だし)が巡行する日本の祭り33件が、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。ここでは、祭り写真家の森井禎紹さんの写真とレポートで、その33件を北から都道府県別にご紹介していきます。
今回は、山形県の新庄まつり、茨城県の日立風流物、栃木県の山あげ祭、鹿沼まつりです。

新庄まつり(山形県)

藩政時代の藩主、戸沢正のぶが前年の大凶作で領民が打ちひしがれたのを見て活気と希望を持たせ豊作を祈願するために、域内天満宮の「新祭」を領民挙げて行ったのが始まりとされている。

古式ゆかしい神輿渡御行列、宵まつり、本まつりに絢爛豪華な山車行列とまつり囃子、新庄城址で踊られる風雅な鹿子踊りや仁田山鹿子踊りなどなど、歴史絵巻が繰り広げられる。

高さ4.7m,幅3m、長さ9mの山車は町単位で作られ、20の山車が、宵まつりの山車行事として午後6時30分に、また本まつりの山車行事として午前10時に福祉センターを出発する。

開催日:8月24日〜26日

開催地:山形県新庄市戸沢神社 護国神社

問い合わせ:新庄市観光協会 Tel:0233-22-2340

日立風流物(茨城県)

高さ15m、幅3m〜8m、奥行8m、重量5tという巨大な山車である。

元禄8年、徳川光圀公の命により、神峰神社が3村の鎮守になった時に氏子達が造った山車を祭礼に繰り出したのが始まりと言われている。

4町4台の風流物は村人達が農作業の傍ら工夫を重ね、村人達の大きな娯楽となり、競い合いながら大型化していった。

日立風流物は大きな山を背にした城郭の形をし、表山の5層の唐破風造りの屋根は中央より左右に割れ開く仕組みになっており、源平盛衰記、風流太平記、仮名手本忠臣蔵、太閤記などの豪華絢爛の次代絵巻の操り人形芝居が繰り広げられる。

開催日:4月第1土曜・日曜日

開催地:茨城県日立市日立駅前平和通り 

問い合わせ:日立市観光協会 Tel:0294-22-3111

山あげ祭(栃木県)

450年前の永禄3年に没病消除祈願のために牛頭天王社をこの烏山の地に勧請したことが祭礼の始まりとされる。

烏山の町は、和紙の原料の楮(こうぞ)、たばこ、漆などの特産物があり、那珂川を通じて江戸との交易の集散地だった。山あげ祭の「山」とは舞台背景に使われるもののこと。竹の網代を編み、和紙を幾重にも貼って舞台装置を作る。高さは10m以上、幅も8m程ある。小さな山も上手に使い独特の舞台効果を作りだしている。

そんな葉池の舞台で人々は江戸歌舞伎を演じる。演者は高校生ぐらいの年齢の男女。舞台が終わる度に解体移動して別の公演地で再び組み立てる。

開催日:7月第4金曜・土曜・日曜日

開催地:栃木県那須烏山市 

問い合わせ:烏山観光協会 Tel:0287-84-1977

鹿沼まつり(栃木県)

江戸時代、江戸と日光を結ぶ重要な宿場であった鹿沼宿の氏神「今宮神社」の祭り。祭りの主役は「動く陽明門」と呼ばれる彫刻舞台だ。全体を絢爛豪華な彫刻で飾る屋台が27台ある。

今宮神社は男体山を神として祀り、昔、日照と大干魃で困っていた鹿沼の人々が神社に祈りを捧げると、激しい雷雨があり、作物を育てることができたという。この神への威嚇の気持ちが祭りの始まり。祭りの一日は神社で行われる「繰り込み」と「繰り出し」が最大の見どころ

2日目は彫刻屋台がパレードして自慢の屋台を披露する。「ぶっつけ」と呼ばれれる囃子の競演は両日とも行われる。また「御巡行」と呼ばれる行事は時代絵巻となっており、今宮神社の神が行列を作って、その氏子達が各町を廻る。

開催日:10月第2土曜・日曜日

開催地:栃木県鹿沼市今宮神社 

問い合わせ:鹿沼市観光物産協会 Tel:0289-60-2507