四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。今回は毎年5月3日、山口県下関市で行われる先帝祭です。

帝を偲ぶ、美しく高雅な上臈(じょうろう)道中

先帝祭は、下関海峡まつりの中のひとつです。

今から834年前、源氏と平氏の戦いの最後を飾る壇ノ浦の船合戦が関門海峡で華々しく行われた。

源氏の軍船800余艘に対し、平氏の軍船は500艘ばかりでした。ただし、平氏は8歳の安徳天皇を御座船にお乗せして、まさに決死の覚悟でした。

戦いは源義経が勝利し、平氏は敗れたのです。二位の尼はもはやこれまえお覚悟を決め、安徳天皇を胸に抱き「波の底にも都がございます」と海の底深く沈んで行かれました。

やがて安徳天皇を弔うために阿弥陀寺というお寺が建てられました。

命日に上臈(じょうろう)に身を落とした女官達が御霊を祀る赤間神社に参拝した事が期限とされている。豪華絢爛な衣裳をまとった太夫が練り歩く姿は、この祭りのクライマックスです。

先帝祭 

開催日:毎年5月3日 
開催地:山口県下関市関海峡ゆめ広場、赤門神社 
問い合わせ:下関観光コンベンション協会 
https://www.stca-kanko.or.jp
             

写真・文: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。