山本周五郎の名作「青べか物語」の舞台として有名な千葉県浦安市。今著名なテーママークのお膝元として様々近代的な開発が進むが、かつては漁業・海苔の養殖など、“漁師町”として栄えた顔を持ち、現在でも古き良き町の文化が受け継がれています。千葉県PRプロジェクトは、そんな昭和レトロの風情漂う浦安市猫実(ねこざね)地域の隠れた魅力を深堀りします。
浦安の歴史・文化を見て、触れて、感じて「浦安市郷土博物館」
■昭和初期の「浦安」へタイムスリップ!? 屋外展示「浦安のまち」では、実際にべか舟に乗ることが出来ます。
浦安市郷土博物館は、かつて漁師町だった頃の浦安を知ることができる体験型の博物館。一歩足を踏み入れるとまるで昭和にタイムスリップしたかのような気分を味わえます。「もの」と「ひと」のふれあいを重視し、特別な資料を除いて、展示物には自由に触れることができます。なかでも屋外展示の「浦安のまち」は、浦安が漁師町として最も活気に溢れていた昭和27年頃の町並みが再現されていて、貝や海苔を採るために使われた一人乗りの平底舟「べか舟」への乗船や昔の遊びなど様々な体験が楽しめます。
■屋内展示室「海とともに」は、海との共存がテーマ
海との共存がテーマとなっている屋内展示室「海とともに」は、2023年4月にリニューアルされました。こちらでは、かつての浦安の干潟をジオラマと映像で再現した「浦安の原風景」や、漁師町としての繁栄の歩みを知ることができる展示のほか、埋立事業以降の浦安の発展について、埋立の工法模型や大型映像で紹介しています。また、水槽で東京湾や境川に生息する様々な魚を観察できるなど、浦安の歴史を身近に体感することができます。
■「海苔すき」や「かまど炊き」など、まちの文化を体験できます
展示のほかにも、浦安に伝わる技術、芸能、風習などの素晴らしさや郷土理解を深めるため、体験型の教室を開催しているのもこの博物館の特徴。特に浦安の基幹産業だった海苔養殖を学べる「海苔すき体験(※冬季のみ)」や昔の生活を体験できる「かまど炊き」など、様々な体験に参加することで、まちを支えてきた知恵や文化を知ることができる貴重な博物館です。
所在地: 浦安市猫実1-2-7
HP: https://assarikunn.wixsite.com/website
地元民から愛される浦安グルメ情報
■伝統の味を守り続ける「さつまや」
地元民に長く支持される「焼きはまぐり」「焼きあさり」の名店。香ばしく焼き上げる伝統の串焼きは、老若男女問わず大人気。
所在地: 浦安市猫実4-16-24
HP : https://www.instagram.com/satsumaya_urayasu/
■漁師町の懐かしい味「小ばなし」
お店の名物「ぼったら」は、浦安地区に伝わるもんじゃ焼きに似た郷土グルメ。焼けたソースの香ばしさが懐かしい味わい。
所在地 :浦安市猫実2-27-10
電話番号:047-354-6995
漁師町の歴史を知る老舗の船宿「吉野屋」
■浦安の海を知る明治創業の船宿
「船宿 吉野屋」は、小説家・山本周五郎の代表作「青べか物語」に「船宿 千本」として登場した歴史ある船宿。釣り船は1名から気軽に乗船できる乗合船、10名以上の団体なら貸切もOKの仕立船のほか、5月から8月までは1日で2度の釣りを楽しむことができるリレー船も運行されています。さらに、運が良ければくじらに出会えることも!東京湾を走る爽快感とともに、海釣りにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
■自慢の料理が楽しめる屋形船
吉野屋では釣り船をチャーターできるほか、季節を感じながら、「和の文化」を気軽に楽しむことができる屋形船もあります。船内では、お刺身の舟盛、ハマグリの酒蒸し、アサリの串焼き、カニ料理など、ベテラン女将たちが腕をふるう吉野屋自慢の絶品コース料理を堪能しながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
所在地: 浦安市猫実5-7-10
HP : https://www.funayado-yoshinoya.com/
■青べか物語と吉野屋
山本周五郎の小説「青べか物語」(昭和36年刊行)は、現在の千葉県浦安市が舞台となっています。物語では「貝と海苔と釣場で知られる根戸川の下流にある漁師町・浦粕町」の「船宿千本」として「船宿 吉野屋」が登場しています。山本周五郎は実際に大正15年から昭和4年の春までこの浦安で暮らしており、「青べか物語」は、当時の体験などを元とした自伝的小説の傑作とされています。吉野屋三代目店主・吉野長太郎氏はこの物語のなかで、釣船宿の三男坊、快活な小学生の男の子「長」として度々登場するなど、作者である山本周五郎と深い関係を築いていたことが覗えます。
昭和レトロを味わえる「喫茶さくら」
■ノスタルジックな気分を味わえる純喫茶
東京メトロ東西線浦安駅から徒歩約1分、レンガ調の建物が目を引く「喫茶さくら」は、創業45年を迎えた純喫茶。70年代・80年代の懐メロが流れる店内では、豪華なシャンデリアに赤じゅうたんが使用されており、まるで昭和にタイムスリップしたかのようなレトロな気分を味わえます。テレビドラマのロケ地となったことでも話題となり、聖地巡礼として多くの方が訪れる人気のスポットです。
■SNSで写真映えするメニューにも注目
喫茶さくらでは、1つのグラスでメロンとイチゴのソーダが楽しめる「ダブルクリームソーダ」が大人気。他にも懐かしの「プリン・ア・ラ・モード」など、SNSや写真映えする純喫茶の定番メニューが豊富!
所在地: 浦安市北栄1-15-6
HP : https://maruchiba.jp/spot/detail_10482.html
漁師町の文化が残る町「浦安」の魅力とこれから 鮮魚 泉銀三代目・森田 釣竿氏
古き良き“町の魚屋”として浦安の歴史や文化を見守り続けてきた老舗鮮魚店「鮮魚 泉銀」。今回は、三代目店主として魚食文化を伝えている森田 釣竿氏に、浦安の『過去・現在・未来』について伺いました。
<森田 釣竿=もりた つりざお プロフィル>
「鮮魚 泉銀」の三代目店主でありながら、2004年にメジャーデビューした唯一無二のフィッシュロックバンド「漁港(※正式表記は「港」を反転させて使用)」のボーカルとしても活動し、魚屋とミュージシャンの二刀流で活躍中。2016年には国民の「魚離れ」を防ぎ、水産物の消費拡大・魚食文化の普及を目的に水産庁が取り組む「お魚かたりべ」に任命され、全国へと活躍の場を広げている。
■浦安の変化を肌で感じてきた
—-森田さんが見てきた漁師町“浦安”はどう変化してきましたか?
浦安はかつて海苔の養殖をはじめとした水産業が盛んな町で、私が子供の頃(昭和60年頃)は、いわゆる“町の魚屋・肉屋”と呼ばれるような個人商店がたくさんありました。その後、テーマパークができて、スーパーやコンビニが増えるとともに新しい住民もどんどん増えて、浦安の町は大きく変化してきました。そんな中、自分の中で、「日本人はもっと魚を食べないとまずいんじゃないか」という想いと、「若い人に浦安に来てもらいたい」「水産業に興味を持ってもらいたい」という想いから、魚屋と音楽活動を同時進行で始めました。漁師町として栄えた浦安と魚の素晴らしさを知ってもらいたいと日々活動しています。
■「町の魚屋」を残していくことが大切
—-泉銀店主3代目として、現在はどのような活動をされていますか?
浦安は自分にとって「原点回帰の町」だと考えています。何より大切なのは、魚屋を続けることであり、それを現代や未来の子供たちに残していきたいです。かつては浦安魚市場があり、町中が魚屋で溢れていました。私たちはその名残を知る最後の世代です。これからもバンド活動を通じた音楽の力とともに、魚屋を続けることでその想いを伝えていきたいです。
■人とのふれあいで昭和レトロを感じてほしい
—-森田さんが考える浦安の魅力とはなんですか?
やっぱり人が面白いですよ浦安は!実際に個人商店に来ていただいて、いろいろな人と話してほしいですね。そこには、映像では伝えきれない魅力がたくさんあります。そんなレトロさもありながら、大型テーマパークがあることも浦安の面白さです。光と陰ではないですが、浦安を訪れた方には、そのコントラストを楽しんでいただけると嬉しいですね。
<鮮魚 泉銀=せんぎょ いずぎん>
「次世代へ向けた”新しい魚食文化”の提案」をコンセプトに営業を続ける個人鮮魚店。三代目店主の森田 釣竿さんが仕入れる新鮮な魚介類を求めて、浦安市内外からリピーターが足繁く通う人気店。通信販売の「お任せセット」や「定期便」も大人気!
所在地: 浦安市堀江3-25-1
4年に1度の祭り「浦安三社祭」が浦安を盛り上げる
「浦安三社祭」は、清瀧神社・豊受神社・稲荷神社の三社が合同で行う例大祭。大小約80基の神輿や山車が町を練り歩く光景は壮観です。「まえだー、まえだー」という独特の掛け声や、重い神輿を地面スレスレまで降ろしてから腰まで上げ、今度は上に掲げて、空中に放り投げる独特の担ぎ方は迫力満点!
<2024年は以下の通り行われます>
開催日:2024年6月14日(金)~6月16日(日) 予定
新型コロナの影響で8年ぶりの開催となる今年は一層盛り上がること間違いなしです。
開催場所:清瀧神社、豊受神社、稲荷神社周辺
<浦安市猫実地域>