六甲高山植物園では、深山に咲く希少な「キレンゲショウマ」約3,000株が大群落をなし、今まさにその見頃を迎えています。絶滅危惧種でありながらこの地で力強く咲き誇るその様は、自然の奥深さと、植物園が守り育む歴史を感じさせます。ここでは、この『幻の花』の知られざる魅力と、夏の六甲山で体験できる深遠な美を詳らかにします。
静謐な感動を呼び起こす3,000株のキレンゲショウマ
六甲山は、神戸の市街地からほど近くにありながら、豊かな自然と澄んだ空気が訪れる人々を包み込む特別な場所です。その山上に佇む六甲高山植物園では、この夏、深山の奥深くでひっそりと息づく「幻の花」、キレンゲショウマが大輪の花を咲かせ、見頃を迎えています。約3,000株にも及ぶ大群落が織りなす光景は、まさに息をのむ美しさであり、都会の喧騒を忘れさせてくれる静謐な感動を呼び起こすでしょう。
秘境に咲く奇跡の花、キレンゲショウマの物語
キレンゲショウマは、アジサイ科に属する多年草で、その名の通り、鮮やかな黄色い花を提灯のようにぶら下げるように咲かせます。ブナ帯の原生林といった奥深い山中でしか見ることのできない、極めて珍しい植物であり、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類に指定されています。その生育には、うす暗く夏でも涼しい特殊な環境が必要とされ、日本国内でも大峰山、剣山、石鎚山といった限られた地域に点々と分布するのみです。
この希少な花が世に知られたのは、明治21(1888)年に東京大学初代植物学教授である矢田部良吉氏によって発見され、同23(1890)年に新属、新種の植物として発表されてからのことです。六甲高山植物園では、剣山などの自生地にも引けを取らない、約3,000株という日本有数の立派な群落を誇る。これは、園が長年にわたり、この貴重な植物の保護と育成に尽力してきた証に他なりません。原生林さながらの園内で、光と影のコントラストの中に浮かび上がるキレンゲショウマの姿は、まさに自然が織りなす芸術そのものと言えます。

しかし、自生地ではシカの食害などにより、その存続が危ぶまれている現実があります。六甲高山植物園でこれほどまでの群落が維持されていることは、植物園が果たす役割の大きさを物語っています。現在、見頃を迎えたキレンゲショウマは、8月下旬頃までその可憐な姿を楽しむことができるでしょう。
自然と現代アートが響き合う「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」
六甲山は、ただ美しい自然があるだけでなく、文化と芸術が融合する場としても注目を集めています。2025年8月23日(土)から11月30日(日)まで開催される「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」は、六甲山上を舞台に、自然と現代アート作品が織りなす唯一無二の芸術祭です。16回目を迎える今回は、「環境への視座と思考」をテーマに掲げ、国内外で活躍する61組ものアーティストが参加します。
奈良美智氏、川俣正氏、村松亮太郎氏/NAKED, INC.など、世界的に著名なアーティストたちの作品が、ROKKO森の音ミュージアム、そして六甲高山植物園を含む広大なエリアに展示されます。自然の中に溶け込むように配されたアート作品は、訪れる人々に新たな視点を提供し、環境について深く思考するきっかけを与えてくれるでしょう。
会場は多岐にわたり、六甲高山植物園もその一つです。広大な敷地を巡りながら、緑豊かな自然の中で予期せぬアートとの出会いを体験する、これこそが、六甲ミーツ・アートの醍醐味と言えます。
<イベントチケット情報>
「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」の料金体系は以下の通りです。
■昼夜パス: 有料会場に加え、夜間イベント「ひかりの森~夜の芸術散歩~」の会場にも入場可能。
■昼パス: 有料会場への入場が可能。
■夜パス: 「ひかりの森~夜の芸術散歩~」会場への入場が可能。
さらに、「シダレミュージアム2025 エモい展」へ割引入場できるセット券も販売されており、大人+800円、小人+400円で利用できます(利用期間:8月23日(土)~11月24日(月・休)まで)。
■六甲の夜を彩る幻想的な光のアート「ひかりの森~夜の芸術散歩~」
日が暮れ、六甲の山上が静寂に包まれる頃、もう一つの特別な体験が待っている。2025年9月20日(土)から11月30日(日)の土日祝限定で、「ひかりの森~夜の芸術散歩~」が開催されるのだ。ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園を舞台に、夜間限定の光のアート作品が、昼間とは全く異なる幻想的な世界を創り出す。
<イベント詳細>
■会期: 2025年9月20日(土)~11月30日(日)の土日祝
■時間: 17:00~20:00(夜パス販売・入場開始は16:00)
■会場: ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園
■料金: 上記「昼夜パス」または「夜パス」の通り
■家族で楽しむ六甲山の自然体験
六甲高山植物園では、キレンゲショウマやアートイベントの他にも、夏休み期間中に楽しめるイベントが用意されている。
「しょくぶつとむし」 : 開催中~9月23日(火・祝)まで、10:00~17:00(16:30チケット販売終了)に開催。植物と昆虫たちの不思議な関係を学ぶことができる。参加費は無料(別途入園料要)。
「真夏の雪あそび」 : 開催中~8月17日(日)まで、11:30~16:00に開催(雨天中止)。都会ではなかなか体験できない、真夏の雪あそびは子供たちに大人気である。参加費は無料(別途入園料要)。
これらのイベントは、小さなお子様連れの家族にとって、自然と触れ合い、学び、楽しむ貴重な機会となるであろう。
■六甲高山植物園 訪問案内
六甲高山植物園は、日本の豊かな自然の宝庫であり、希少な植物の保護と、訪れる人々の心に安らぎを与える役割を担っている。幻の花キレンゲショウマの群落、そして自然と調和する現代アートの祭典は、都会の喧騒から離れ、心身ともにリフレッシュする最適な場所を提供する。
六甲山全体が織りなす多様な魅力を体験しに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
■営業概要
開園期間: 開園中~11月30日(日)
※休園日あり。詳細は公式ウェブサイトを確認のこと。
■入園料:
大人(中学生以上)900円
小人(4歳~小学生)450円
■駐車料金:
通常1,000円
8月9日(土)~17日(日)は2,000円
※荒天等により、営業・イベントの内容が変更・中止される場合があるため、訪問前に公式ウェブサイトでの確認を推奨する。
■六甲山ポータルサイト
六甲山に関する詳細な情報や、最新のイベント情報はこちらで確認できます。
https://www.rokkosan.com/









