お酒を選ぶ際にこれだけは知っておきたい用語解説。
アミノ酸度
日酒の成分中のアミノ酸の量を あらわす数字。酒の旨味成分と して捉えられることが多いが、 アミノ酸の量が多ければ旨味が 強いとは限らず、それを支える 酸や甘辛とのバランスも必要と なる。あまり多すぎても雑味の ように感じられる場合もある
荒走り(あらばしり)
もろみを搾った際、最初にした たり出る部分。「一番搾り」のようなもので、場合によっては澱も混ざる。風味はやや荒っぽいとされるが、そのパワフルな 風味を好むファンも多い。
生酛(きもと)
酛造りの方法のひとつ。明治末 期までは大気中の乳酸菌を取り 込むことによって、雑菌の働き を抑制する天然の乳酸を生成し ていた。乳酸を生成するために 米をすりつぶす「酛摺り」(「山おろし」ともいう)を行 うなど、江戸時代に灘で考案さ れた方法で造った酛。時間も労 力もかかるが、生酛で仕込むと 濃醇なコクやキレの良さをもっ た酒ができあがる。燗上がり (お燗をして風味が増すこと) する酒に仕上がるとの定評もあ る。
原酒 (げんしゅ)
上槽を終えた酒は、一般的には 加水してアルコール度数を調整 してから商品化されるが、その 過程を経ずに搾ったままの度数 で出荷される酒のこと。アルコ ールは18〜20 %前後であることが多い。
麹(こうじ)
蒸し米に麹菌を加え、温度・湿 度を調整しながら繁殖させたも の。米のデンプン質を糖化させ、 酵母の栄養源となって、醗酵を 助ける働きをする。
酵母(こうぼ)
糖を分解して、炭酸ガスとアル コールを生成する働きをする微 生物。日本醸造協会が培養した 「きょうかい酵母」のほか、県 や蔵で独自に開発される新酵母 も増加傾向にある。
古酒(こしゅ)
搾りたての新酒に対し、1年以 上が経過した前年度(六月末日 までのこと。七月一日からが新 醸造年度である)醸造の酒をさ すが、熟成した酒ならではの旨 味を求めて、意図的に寝かせた ものも古酒と呼ばれる。「長期 熟成酒」とも呼ばれる。
酸度(さんど)
日本酒の成分中の総酸の量を表す数字。この酸が日本酒の甘口、 辛口にも影響を与え、後口のキ レの良さにも関わりを持つ。同 じ日本酒度であっても、酸の高 い酒のほうがより辛口に感じら れる傾向にあるとされる
上槽(じょうそう)
醗酵を終えたもろみを搾って、 酒と酒粕に分離すること。
精米歩合(せいまいぶあい)
原料米を精白(削り)し、糠と して取り除いたあとに、どれだ けの白米が残ったかを表す数字。
速醸酛(そくじょうもと)
酛の種類で、酛造りをする際、 人工的に乳酸を添加して雑菌を 抑制する方法。時間と労力が軽 減されるため、現在の酛造りで は主流になっている。ラベルに 「生酛」「山廃」の表記のない 酒は、速醸酛であることがほと んどである。
杜氏(とうじ)
酒造りの技と知識を持ち、酒造 りのすべてを統括する最高責任 者。杜氏以下酒造りに従事する 人たちを蔵人という。
生酒(本生酒)
上槽後の酒は、通常の出荷の場 合、貯蔵前に一度、熟成を経た 瓶詰め前に一度、計二度の火入 れが行われるが、その処理を一切せずにフレッシュな風味を生 かしたまま出荷される酒。品質 保持のために冷蔵保存が必要。
生詰め酒
貯蔵前の一回目の火入れだけを 行い、瓶詰め前の火入れは行わ ずに出荷した酒。
生貯蔵酒
貯蔵前の火入れは行わずに、熟 成後の瓶詰めのあとの火入れだ けを行った酒。
濁り・薄濁り
目の粗い網や布などでもろみを 濾して、白濁したまま製品化し た酒。上槽した酒にごく少量の 酒粕を戻すタイプもある。
日本酒度
日本酒の甘辛を見る目安となる 数字。日本酒度計(浮き秤)で 測定する際、水を0として、そ れよりも糖分の比重が大きい 「甘口」の酒はマイナスの数字 で表され、水よりも糖分の比重 が小さい「辛口」の酒をプラス の数字で表記する。プラスの数 字が大きいほど辛口、マイナス の数字が大きいほど甘口とされ るが、酒の中には数字では表し きれない微妙な風味も含まれて いるため、あくまでも目安に。
冷やおろし
春先にできあがった清酒を、一度火入れして貯蔵し、夏の間じ っくりと低温で熟成させたあと、 秋になってから火入れをせずに 生詰めで出荷した酒。
酛(もと)
麹、蒸し米、水の混合物の中で 酵母を培養したもの。「酒母」 とも呼ばれ、酒を仕込む際の母 胎となる。酛造りにおいては、 乳酸の力を借りて雑菌から酵母 を守るのだが、大気中の乳酸菌 を取り込み乳酸を生成する「生 酛」「山廃酛」と、人工的に乳 酸を添加する「速醸酛」がある。
もろみ
酛に麹、水、蒸し米を仕込み、 米のデンプン質を糖化させ、さ らに、その糖を酵母によって分 解して、アルコールを生成して いくもの。これは「並行複醗 酵」と呼ばれる酒造方法で、世 界で最も複雑な醸造法だ。
山廃酛(やまはいもと)
生酛造りと同じく、大気中の乳 酸菌から乳酸を生成する酛造り の方法。酛摺り(山おろし・米 をすりつぶす作業)は行わない ため、「山おろし廃止酛」と呼 ばれ、やがてそれを省いて「山 廃」と呼ばれるようになった。 生酛作り同様に、燗に向く濃醇 な旨味をもった酒が多い。









