太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。
ピアノ語り : 水城雄 Yu Mizuki / 絵 : 朝生 ゆりこ Yuriko Aso / 文 : 中島有里子 Yuriko Nakajima
大寒 だいかん
二十四節気の最終節であり、冬の最後となる「大寒」。
太陽黄経が300度になったとき、冬至のほぼ1カ月後の1月20日ごろが大寒の日です。小寒と大寒を併せた1カ月を「寒」と呼び、1年で最も寒い季節を意味しています。
雪深く、沢は厚く凍りついて、寒さ極まるこの時期には、寒仕込みといって酒や味噌、寒天、凍り豆腐など、寒気を利用した食物の仕込みが行われてきました。武道では寒稽古、寒中に冷水を浴びて心身を清め、神仏に祈願する寒垢離(かんごり)もこの季節ならでは。
二十四節気の始まり「立春」、その前日の節分は「寒明け」ともいいます。
凍てついた地に蕗の薹が顔を出し、硬い冷気の間を蠟梅の香がふと流れるころには、少しずつ明るさを増していく太陽が極まった寒さを溶かして、春の光へと変わっていく。こうして、日々と季節と1年が、永遠に巡って行くのですね。
二十四節気「大寒」七十二候
大寒【初候】第七十候・1月 20日〜 款 冬 華 ふき の はなさく
大寒【次候】第七十一候・1月25日〜 水沢腹堅 さわみずこおりつめる
大寒【末候】第七十二候・1月30日〜 鶏 始 乳 にわとりはじめてとやにつく
ロウバイ(Chimonanthus praecox)
中国原産、江戸時代初期に日本へと伝わったロウバイ科の落葉低木。
厳冬の頃、ロウ細工のような光沢のある艶やかに透き通った花を咲かせる。
他の花木に先駆けて咲く香り高い花と独特の姿が愛され、庭木のほか生け花や茶花として利用されている。
いくつかの種類があり、イラストは和蝋梅(ワロウバイ)。