四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。今回は毎年5月に兵庫県南あわじ市市で行われる市沼島八幡神社夏祭りです。

沼島は人口1000人足らずの小さな島で、本格的な祭りが行われるようになったのは江戸時代に入ってからといわれ、本来は漁師が魚を休ませる「放生会」が起こりという。祭りには引きだんじり3台、布団だんじり2台の計5台が出る。沼島八幡神社で神事が行われている中で、だんじりは、待ち兼ねたように街中を激しく練る。午前11時30分、男衆に担がれたみこしが約80段の石段を一気に下りてくると、祭りは最高潮だ。

みこしの担ぎ手はハッピに脚絆姿、だんじりののぼりは、織田、豊臣、徳川もの「戦」の旗、打ち鳴らす太鼓は陣太鼓、豊臣秀吉の朝鮮出兵に出陣した沼島水軍の流れをくむという。お旅の途中、引きだんじりは勇猛さを競うように海中にも飛び込む。その度に沿道から拍手が湧く。

沼島八幡神社夏祭り 

開催日:毎年5月4日 
開催地:兵庫県南あわじ市沼島 沼島八幡神社
問い合わせ:南あわじ市沼島出張所 TEL:0799-57-0001

写真・文: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。