＜東京・向島百花園＞歴史薫る隅田川焼を再現する秋の楽焼体験

秋の訪れとともに、心豊かなひとときを求める方々に、向島百花園より特別な手しごと体験のご案内があります。江戸時代後期の文化人たちが愛でた、風情溢れるこの庭園で、かつてこの地で育まれた伝統的な陶芸「隅田川焼」の一部を、ご自身の手で再現できる『秋の楽焼体験』が開催されます。ただ美しい庭園を散策するだけでなく、その地の歴史に深く触れ、創造的な喜びを味わうことができる、まさに秋の行楽に相応しい催しと言えるでしょう。

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歴史が息づく手しごとの世界へ

2025年9月27日（土）と28日（日）の二日間、向島百花園にて『秋の楽焼体験』が開催されます。この催しの最大の魅力は、単なる陶芸体験に留まらず、向島百花園の歴史に深く根ざした「隅田川焼」という伝統的な焼き物に触れることができる点にあります。

「隅田川焼」とは、江戸時代後期から明治時代にかけて、この向島地域で盛んに作られ、特に庶民に親しまれた陶器の一種です。今回の楽焼体験は、その技法の一部を現代に蘇らせる試みであり、ご自身の手で土をこね、絵付けを施すことで、当時の人々の暮らしや文化に思いを馳せることができるでしょう。

会場は、庭園の緑に囲まれた「売店前四阿（あずまや）」となります。四阿とは、庭園によく見られる屋根付きの休憩所を指し、秋風が心地よい開放的な空間で、心ゆくまで陶芸に没頭できることと思われます。このような歴史ある場所で、悠久の時を感じながら土と向き合う時間は、極めて貴重な体験となるに違いありません。

熟練の指導と心温まる作品作り

陶芸が初めての方も、どうぞご安心ください。今回の体験では、陶芸家の長谷川剛氏が講師を務められます。プロの指導のもと、一から作品作りに挑戦できるこの機会は、まさにまたとないものでしょう。「楽焼（らくやき）」は、比較的低温で短時間で焼成する陶器の一種であり、ろくろを使わず手びねりで作られることが多いのが特徴でございます。その素朴で温かみのある風合いは、初めての方でも気軽に挑戦しやすい技法と言えます。きっと、世界に一つだけの、ご自身の個性が息づく作品が生まれることでしょう。

参加費は、一作品1,200円（別途入園料）です。向島百花園の入園料は、一般150円、65歳以上は70円と、もともと非常に手頃な価格設定となっています。小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料でご入園いただけます。つまり、入園料を含めても、一般の方であれば1,350円で、歴史ある庭園でプロの指導を受けながら、ご自身のオリジナル陶器を制作できるという充実したツアーになります。

楽焼作品例
楽焼の作品例

参加の心得と庭園散策のすすめ

このイベントへのご参加は、事前の予約は不要で、当日会場にて受付を行います。ただし、各日30名という定員が設けられていますので、確実に体験をご希望される方は、できるだけ早い時間にご来園されることをお薦めします。混雑時には整理券が配布される可能性もありますので、ご留意ください。

作品は絵付け後に焼成（焼き上げる工程）が必要となり、これに約1時間の待ち時間が発生します。混雑状況によっては2時間以上かかる場合もあるとのことです。しかし、この待ち時間は、美しい秋の向島百花園をじっくりと散策する良い機会とも言えます。色づき始めた木々や、秋の七草を愛でながら、心ゆくまで庭園の風情を味わう時間は、楽焼体験と相まって、より一層豊かな一日を演出してくれることと思います。なお、このイベントは雨天中止となりますので、ご来園の際は当日の天気予報を必ずご確認ください。

向島百花園で彩る一日

せっかく向島百花園を訪れるのであれば、楽焼体験以外の情報も押さえておくことで、より充実した一日をお過ごしいただけるでしょう。

向島百花園の風景
向島百花園の秋の風景

向島百花園は、江戸時代後期に開園した、全国でも珍しい「文人趣味」を反映した庭園でございます。草花を主役とし、多くの文人墨客に愛されてきました。秋には萩やコスモスなど、季節の草花が訪れる人々の目を楽しませてくれます。

開園時間: 午前9時～午後5時（入園は午後4時30分まで）
休園日: 年末年始（12月29日～翌年1月3日）
入園料:
- 一般: 150円
- 65歳以上: 70円
- 小学生以下及び都内在住・在学の中学生: 無料
- ※団体入場券や年間パスポートについては、公式サイトをご確認ください。