北から南へ、高山から低地へ、錦のさざ波が日本列島を覆います。
美しい日本の秋を満喫してみてはいかがでしょう。

糠平国道・三国峠(北海道上川町/上土幌町)

糠平国道・三国峠の松見大橋。三国峠は北海道の国道の中で最も標高の高い峠(1,139m)。夏の深い緑、秋の紅葉の大樹海をドライブするのは最高です。

北海道で一番高い国道峠から原生林を俯瞰する

日本で最も早い紅葉を楽しめる大雪山系。国道273号・糠平国道の三国峠はその東に位置する絶景峠です。層雲峡(そううんきょう)方面から走って行くと、三国トンネルを抜けた先でいきなり視界が開け、眼下に広がるのは原生林の大樹海。これが9月下旬頃から一斉に色づいていきます。ダケカンバ、イタヤカエデ、ナナカマドなどの紅葉の中にエゾマツの緑が点在し、美しさをいっそう引き立てます。

◆紅葉の見頃:9月下旬〜10月中旬

アクセスガイド
◎道央道・旭川北ICから国道39号・273号などを経由して約95㎞/2時間30分。
◎道東道・音更帯広ICから国道241号・273号を経由して約83㎞/2時間。

十和田湖・奥入瀬渓流(青森県十和田市)

変化に富んだ風景が楽しめる、十和田湖と奥入瀬渓流の紅葉。渓流の本流にかかる銚子大滝は高さ7m、幅20m(左下)。

色とりどりの紅葉に包まれるみちのくのカルデラ湖。

十和田湖はカルデラ湖で、日本で12番目の大きさの湖。十和田湖畔の子ノ口(ねのくち)から東へ約14㎞にわたって続く奥入瀬渓流も紅葉の名所として知られています。ブナやナラ、カエデやナナカマドの混成林が広がって、湖から渓流へ四季折々変化に富んだ姿を見せ、特に紅葉の時期はひときわ美しい景色を楽しむことができます。十和田湖を見下ろすスポットとしては、御倉半島の付け根に位置する瞰湖台のほか、国道103号沿いの発荷(はっか)峠展望台なども人気です。

◆紅葉の見頃:10月中旬〜下旬

アクセスガイド
◎JR八戸駅から十和田湖行きバスで約2時間15分。
◎東北道・十和田ICから国道103号などで約35㎞/1時間。

八幡平・見返峠(岩手県八幡平市/秋田県仙北市)

見返峠付近からの眺め。早朝には見事な雲海と出合えることもあります。撮影:平島格

駆け下りてくる紅葉を秀峰・岩手山の眺めとともに堪能。

県道23号・八幡平アスピーテラインは東北地方有数の山岳ドライブルート。そのピークとなる見返峠は日本百名山の一つに数えられる八幡平(標高1,613m)のすぐ南に位置しています。峠の展望台からは見事な紅葉だけでなく、ゆったりと裾野を延ばす独立峰・岩手山の姿も一望。見返峠から八幡平山頂までは徒歩で30分ほどなので、紅葉を眺めながらのトレッキングも気軽に楽しめます。

◆紅葉の見頃:9月下旬〜10月中旬

アクセスガイド
◎JR盛岡駅から路線バスで約1時間50分。
◎東北道・松尾八幡平ICからアスピーテライン経由で約25㎞/50分。

JR只見線第一橋梁(福島県三島町)

JR只見線第一橋梁は鉄道ファンには有名な撮影スポット(上)。新緑と紅葉のシーズンには臨時快速列車「SL会津只見号」が運行されます(左下)。只見川の上流、新潟との県境近くにある田子倉湖も紅葉の名所として知られています(右下)。 撮影:郷土写真家 星 賢孝

広大なブナの原生林の中を走る奥会津のローカル鉄道。

JR只見線は、福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶローカル鉄道(会津川口—只見間は2011年の豪雨の影響で現在不通となっている)。沿線にはユネスコエコパークに登録された広大なブナの原生林が広がり、日本の原風景ともいうべき美しい紅葉を車窓から楽しめます。メインカットのJR只見線第一橋梁を眼下にする撮影スポットは、道の駅・尾瀬街道みしま宿から徒歩10分ほどの場所にあります。

◆紅葉の見頃:10月下旬〜11月中旬

アクセスガイド
◎JR只見線・会津宮下駅から道の駅みしま宿までタクシーで約5分。
◎磐越道・会津坂下ICから約14㎞/20分。

文: 佐々木 節 Takashi Sasaki

編集事務所スタジオF代表。『絶景ドライブ(学研プラス)』、『大人のバイク旅(八重洲出版)』を始めとする旅ムック・シリーズを手がけてきた。おもな著書に『日本の街道を旅する(学研)』 『2時間でわかる旅のモンゴル学(立風書房)』などがある。