時間や約束に縛られることもなく、
自由な旅をするかのように、気が向いた場所に足を運び、
雨の日には雨の京都を、曇りの日には曇りの京都を、
また晴れた日には晴れの京都を、写し撮ってみたい。
写真 : 谷口哲 Akira Taniguchi / 文 : 中島有里子 Yuriko Nakajima
小雪舞う先斗町
1人より、2人で寄り添いながら歩くのに丁度いい幅の道
祇園と並ぶ花街(かがい)として有名な先斗町。
京都・中京区の四条河原町近く、鴨川と木屋町通の間の、三条通一筋南から四条通りまで、鴨川に沿った南北500メートルほどの細長い通りをさす。
もともとは鴨川の洲で、江戸時代初期に護岸工事により埋め立てられ、高瀬舟の先導や旅客目当ての茶屋や旅籠が置かれたのが始まりだという。
先斗町の地名の由来は、ポルトガル語のponto(点の意)、ponta(先の意)、ponte(橋の意)といわれたり、鴨川と高瀬川2本の川の間にあるため、2枚の皮に挟まれて「ポン!と」鳴る鼓に例えられた、とも伝えられる。
京の粋や人情、美意識などの感性が息づく先斗町、その風情は京町家建築の意匠や街並みなどの景観を守るためのルール作りだけでなく、その思いを次世代に伝えたいと願う地元の人々の心意気をも強く感じさせている。(文/中島)
先斗町歌舞練場
先斗町歌舞練場では、140年以上の歴史を誇る「鴨川をどり」が毎年5月に行われる。
所在地:京都府京都市中京区橋下町130