四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。
人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。
今回は秋田県横手市で行われる梵天です。

梵天。豪華絢爛な祭りだ。

「ぼんでん」とは、弊束(へいそく=神に捧げる捧げ物)のこと。

250年以上の伝統を誇り、五穀豊穣、町内安全、商売繁盛などを祈願し、旭岡山神社に奉納する。

勇壮さを誇る小正月の行事です。

「ぼんでん」は、細長い5メートルくらいの先に円筒形の竹籠を取り付け、それに色彩豊かな麻糸などを垂らし、注連縄とご弊を捧げます。

頭の上には意匠を凝らした武者人形や干支などの飾り物を付けています。

祭り当日は、各町内や職場から、揃いのはんてんを着た若者達が参加し、法螺貝を吹きながら、掛け声も勇ましく、ぼんでんを担いで神社本殿を目指して進みます。

前日には市役所の前で勢揃いしたぼんでんコンクールも見どころの一つ。

大曲市(合併後・大仙市)伊豆山神社では、川を渡る梵天も行われ、雪と雄物川に映えて、絵のような美しさである。

写真・文: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。