四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。今回は毎年6月に大阪市住吉大社で行われる御田植神事です。
写真・文 : 森井 禎紹 Teiji Morii
お米の豊作を神に祈る行事
「御田植行事」は、我々の日々の命を延べる五穀のうちでも、最も大切な米の豊作を神に祈願する神事です。住吉大社の「御田」も、田植に当たって神に豊作を祈り、稔りの秋を予祝する神聖な行事で、重要無形民俗文化財に指定されています。
祭儀に続いて境内の約二段歩の神田に田植をする間、中央の舞台と「田の畔」(たのくろ)で、豊作を予祝する行事が行われます。
この祭りは、1760年に、神功皇后が、この大社の御鎮祭を行ったの後、長門国(現在の山口県)から植女を召して御供田を植えさせられたことに始まるとされます。
明治維新以来、植女新町廊の芸妓が奉仕する事になりました。これは、維新に際し一時中断した時、新町廊が御供田を奉納した縁によるものです。
午後1時、本殿祭の儀が始まります。宮司以下、神職、八乙女、植女、御稔女、風流武者、住吉踊りの子等、替植女、奉耕社等は、石舞台で修祓の後、第一本堂に参進、祭典が行われます。
神前に備えられた早苗が、ひとつひとつ植女に手渡され、祭儀が済むと、宮司以下行列を整えて神田に渡ります。