太陰暦の時代、春夏秋冬それぞれを6つに分けて24等分し、その区切りと区切られた期間の季節を表すために作られた二十四節気。七十二候はそれをさらに3つの項に細分して1年の移ろいを表したものです。些細な兆しからいつしか劇的な変化を遂げていく日本の四季の表情を、水城 ゆうがピアノで表現します。

小満 しょうまん

万物が充実し、あらゆる生命が満ち満ちていく時期。小満初候「蚕起食桑」は蚕(かいこ)が桑の葉を食べ始めるころ、という意味。日本が世界に誇るシルク、その絹糸を生み出す蚕はカイコガ科に属する昆虫の一種です。幼虫の蚕は桑の葉のみを食べ続け、やがて細く長い1本の糸を吐き体の周りに繭を作り、それが美しい絹糸となるのです。続く次候の「紅花栄」は、崇高で華やかな紅い色の染料となるベニバナが咲き乱れるときを表します。初夏から仲夏へ、走り雨が見られるころには本格的な梅雨が近づいてきます。

二十四節気「小満」七十二候

小満【初候】第二十二候・5月21日 蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ

小満【次候】第二十三候・5月26日 紅 花 栄 べにばな さかう

小満【末候】第二十四候・6月1日 麦 秋 至 むぎのとき いたる

ベニバナトチノキ

ヨーロッパ原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)と北米原産のアカバナトチノキの交雑種。
5月ごろ、枝先に鮮やかな赤紅色の花を咲かせる。
円錐状の花穂が美しい。日本ではマロニエよりも普及している。

ピアノ語り: 水城雄 Yu Mizuki

1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。

絵: 朝生 ゆりこ Yuriko Aso

イラストレーター、グラフィックデザイナー。東京藝術大学美術学部油画科卒。雑誌、書籍のイラスト、挿画などを多く手がける。 https://y-aso.amebaownd.com

文: 中島有里子 Yuriko Nakajima

一般社団法人めぐりジャパン 代表理事。