四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。
人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。
今回は、福岡県柳川市の「雛祭り」です。

「色にして、老木の柳うちしだる、我が柳河の水の豊かさ」と歌われる水郷柳川。3月1日から4月3日の約1ヵ月間、雛祭り行事が行われる。その代表が「さげもん」(福岡県柳川市に伝わる風習。吊るし飾りのひとつ)めぐりと「お雛様水上パレードだ。

「ちょっと、よりめさんかも」と声を掛けられる。部屋いっぱいに飾られて、春の柔らかな光の中にゆれている「さげもん」に目を奪われる。

「手まり」や「匂い袋」といった縁起のいいものを組み合わせ、母親はもちろん、祖母の手によって作られ、愛情が込められた「さげもん」が雛壇の天井部に所狭しと飾られる。

また、雛様水上パレードは、水郷川下り乗船場に集合した数十隻の舟に雛様が満載、着物に身を包んだ子どもたちも乗船し、川下りに出発する。川岸に作菜の花や桜の間を進む、風情を感じる風景だ。

柳川市雛祭り

開催日:3月1日〜4月3日

開催地:福岡県柳川市

お問い合わせ:柳川市観光協会

☎0944-73-2145

文・写真: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。