「富士山に登ろう!」と思い立ったはいいけれど、何を準備し、
いつどこから、どうやって登ればいいのか分からないことばかり。
そこで、富士登山のために知っておきたい基本情報をご紹介いたします。

どこから登るの? 富士登山の主要4ルート

富士山の登山口は、山梨県の富士吉田口、静岡県の須走口、御殿場口、富士宮口の合計4つが主要ルート。いずれもバスや車で五合目、または新五合目までアプローチでき、そこから歩き出します。ほかにも一合目から登る道や古道などマニアックな登山道はありますが、登山道の整備が行き届き、山小屋がこれほど充実しているのはこの4ルートだけ。

■吉田口(山梨県)

*目安の歩行時間:上り5時間30分、下り3時間

河口湖口とも呼ばれ、富士講が盛んだった江戸時代から現在に至るまで、一番歩かれているメジャーなルート。よく整備された登山道は歩きやすく、小屋の数も4ルートのなかで一番多い。都内から直行バスが出ているアクセス抜群の登山口だが、その分、混雑度も高い。特に登山初心者にはおすすめのルート。

■須走口(静岡県)

*目安の歩行時間:上り6時間、下り3時間

標高2,000mから歩き始め、六合目まで樹林帯が続き、高山植物を愛でながらの森歩きが楽しめる変化に富んだ登山口。真東に位置し、御来光を真正面から望める。吉田口や富士宮などの人気ルートより登山者は少ないが、本八合目から吉田口と合流するため山頂直下は混雑する。

■御殿場口(静岡県)

*目安の歩行時間:上り7時間30分、下り3時間

主要4ルートのなかでもっとも低い、標高1,440mから歩き始める登山口。高低差が大きく歩行距離も長いため1泊プランが基本。小屋数が少ないので食料や飲料水は十分に用意を。最盛期でも登山客が少なく、下山道は1歩で3mあまりを走り下るといわれる「大砂はしり」が有名。

■富士宮口(静岡県)

*目安の歩行時間:上り5時間、下り2時間30分

御殿場口を除いた3つの登山口は、ハイシーズンはマイカー規制を行っており、車利用の登山者は近くの駐車場に車を停めて、バスで五合目までアプローチしなければいけません。どの登山口も近辺の駅から五合目まで路線バスでアクセスできるので、ハイシーズンは電車とバスの利用が便利。また、吉田口は都心部から直行バスもたくさん出ています。

富士登山のベストシーズンは?

富士山は7月1日に開山し、8月下旬に閉山します。開山前は山頂近くに雪が残り、まだ寒い季節。山開きに合わせて山小屋が営業しはじめ、8月末~9月第1週あたりまで営業し、それ以外の時期は基本的に閉業します。7月初旬と9月初旬は比較的混雑が少ないものの、気温が低く天候も不安定。なので、おすすめの登山時期は梅雨明けから8月初旬のすっきりとした夏空が広がる約1か月間。ただし、混雑は必至です。

左/間違えて違う登山口に降りないよう下山時は標識をチェック。右/山小屋では缶に入った酸素も販売。もしもの場合は購入して対策を

■富士山頂は真夏でも寒い

富士山頂と山麓の気温差は20度以上あり、平地が30度を超える真夏でも山頂の気温は10度程度。夜や早朝はさらに冷え込みます。そして、富士山は樹木がほとんど生えておらず、日中は直射日光を受けるため非常に暑くなります。富士登山は気温変化が激しいので、ウエアをはじめ装備の準備は非常に大切です。経験豊かな人と慎重にプランを練りましょう。

■ビギナーなら1 泊プランがおすすめ

富士登山で一番の心配は高山病。登山初心者や初めて富士山に登る人は、五合目でゆっくり準備し、七合目か八合目で1泊してから山頂を目指すなど、からだを徐々に高所に慣らしつつ登るプランが安心です。山頂で御来光を見るなら19時前には就眠し、夜中から歩き出します。


【富士登山の大敵、高山病】

高山病とは、標高が高くなるにつれ気圧が下がり、低酸素状態に置かれた時に発生する体の変調で、頭痛やめまい、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。一般には1日〜数日で症状は消えますが、重症の場合は高地脳浮腫などを起こし、死に至ることもあるので、症状が現れたら無理をせず休息し、それでも改善されなければ下山してください。富士山はスタート地点の五合目あたりでも標高2,000m以上の高所。しばらくゆっくりして体を高所に慣らしてから登り始めましょう。また、登山前日は睡眠を十分とるなど万全の体調で臨むことも大切です。

富士山の山小屋はこんなところ

一般的な山小屋と違い、富士山の小屋は予約制です。お盆やハイシーズンの休日は特に登山客が集中するため、2か月前には予約を入れないとすでに満員、なんてこともあります。山小屋は男女混合の雑魚寝が基本で、個室があるのはごく一部。遅くとも日暮れ前の16時には到着できるようスケジュールを調節して登りましょう。

左/山小屋では限られたスペースを有効活用。広間は休憩所、食堂、混雑時は寝室にもなる。右上/トイレの前に利用料を入れる箱がある。富士登山では小銭が必須。右下/寝る場所は横に長い2段ベッドのようなところ。靴や荷物は各自で管理(御来光館)

■山小屋でお風呂は入れない

富士山は水がとても貴重なので、山小屋にお風呂はありませんし、洗面所などの水場もほとんどありません。洗顔はウェットティッシュなどを用い、歯磨きは自分の水を使うのが基本です。そしてゴミは各自で持ち帰るのが鉄則。

■飲料や食料は意外と手に入る

水が貴重な富士山ではありますが、山小屋では飲料を売っており、自動販売機も置いてあります。たくさん水を持っていかなくても飲料水は意外と手に入りやすく、500mlのペットボトルは500円が相場。荷物を軽くしたければ、飲み物・食べ物は少しだけ持参し、山小屋で休憩するたびに購入するというのもひとつの手です。

■トイレは充実。ただし有料

女性はトイレを気にして水分を減らしがちですが、水分不足だと高山病になりやすいのでこまめな補給が不可欠です。富士山は山小屋が充実しており1~2時間も歩けばトイレがある恵まれた環境です。ただしすべて有料で、料金は100円~300円ほど。トイレットペーパーもほぼ備えられていますが、ポケットティッシュは持参しましょう。


***世界文化遺産・富士山。中腹まで車やバスで行くことができ、登山道や山小屋の整備が行き届いているとはいえ、やはり日本一高い山です、侮ってはいけません。でも、自分の足で登ることが出来たら……、それはそれは素晴らしい世界が待っていることでしょう! 

吉田口ルートはゆるやかな斜度のジグザグ道が多く、のんびり歩ける