ドローンが捉えた全国の景勝地の風景をシリーズでお届けします。
今回は日光国立公園に位置する奥日光・戦場ヶ原の風景です。

戦場ヶ原を低空でかけぬける

快晴に恵まれた奥日光・戦場ヶ原。回りを囲む山々たちが新緑の装いを見せる中、ここ戦場ヶ原だけが戦いの後のように冬枯れのまま。ドローンは、遊歩道となっている木道の休憩所から戦場ヶ原の上空150mまでを一気に上昇。150mの上空からゆっくりと回りを見渡し、途中戦場ヶ原を低空でかけぬけ、再び上昇。これから奥日光も夏の観光シーズンを迎える。

(撮影日:5月19日)

<戦場ヶ原> 

男体山(2484m)の西麓にいまだ冬枯れの様相をとどめたまま広がる戦場ヶ原。古くはその爆発により湯川の流れが堰止められてできた湖で、その後周囲からの土砂の流入などにより湿原化し、さらに今は草原への移行段階にあると考えられています。

湿原の平均標高約1400mは尾瀬ヶ原とほぼ同じ、この時期はまだシラカバなどの立ち枯れた木々が点在するばかりですが、少し季節が進むと湿原植物が次々と顔を出して景観を一変させます。

6月半ばからはズミやワタスゲの白、ピンクのホザキシモツケや朱橙のレンゲツツジにアヤメの紫など、秋には一面草紅葉に染められます。湿原内には湯川の清流沿いに自然探勝路が通じてさまざまな草花との出会いを楽しめ、ふだんは近づきがたい水辺の草花でも間近に観察することができます。湿原の北端に水をたたえる泉門いずみやど池いけ周辺にはミズナラやウラジロモミの原生林が続き、特にミズナラ林では大木が多く見事な森を形成しています。

戦場ヶ原の名は、その昔、男体山の神と赤城山の神が領地をめぐってここで死闘を繰り返したという伝説によります。そして戦後、和解の交渉をしたところが中禅寺湖畔の菖蒲(勝負)ヶ浜、勝利した男体山の神が戦勝祝いをしたところが歌ヶ浜といわれています。  

Music: 水城雄 Yu Mizuki

1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。

文: 藤沼 裕司 Yuji Fujinuma

フリー編集者、記者。動植物、自然、歴史文化を主なテーマに活動。