日本では、かつて数多くの城が存在していました。しかし、建築された当時の天守がそのままの姿で残されているものは全国にわずか12城しかありません。そのほとんどは姿を消し、現在見ることができるのは新たに建設・復元されたものです。そんな現存天守は、長い歴史を積み重ねながら、今なお日本人の心に響く美しい姿を保ち続けています。今回は、高知県高知市にある高知城(こうちじょう)をご紹介します。
Text : 中澤浩明 Hiroaki Nakazawa
山内一豊が築いた名城
関ヶ原の戦いにおける活躍によって、徳川家康から土佐一国を与えられた山内一豊が1611(慶長16)年に完成させたのが高知城です。屋根瓦の灰色と白漆喰壁の色が、鷹の羽の色に似ていることから鷹城とも呼ばれています。
鏡川とその支流に挟まれる大高坂山に築かれた城は、山を段丘状に利用して下段に水堀と曲輪、中段に三の丸、獅子の段、そして頂上部に本丸と二の丸が平行に並ぶ並郭式の縄張で構成されています。1727(享保12)年の大火により城のほとんどは焼失しましたが、現在見ることができる天守は、1749(寛延2)年に再建されたものです。
天守と本丸御殿などが現存
天守と本丸御殿(懐徳館・かいとくかん)をはじめ、本丸の建築物がすべて現存するのはここだけで、このほかに追手門や黒鉄門、詰門など全部で15棟におよぶ国の重要文化財があります。
独立式望楼型の天守は4重6階の構造をもち、総塗籠の白壁で大型の千鳥破風や、最上階に高欄と廻縁をもった古式な美しさを見せています。これは山内一豊が前に居城していた、掛川城を模したものといわれています。咸臨閣(かんりんかく)という別名を持つ天守では、唯一現存する忍び返しも見ることができます。
高知城
別名:鷹城 築城年(建設開始):慶長6(1601)年
築城者:山内一豊(やまうちかつとよ)
種類:平山城 主な遺構:天守、本丸御殿、櫓、門、石垣
入場料:大人420円、18歳未満無料
開場時間:9:00〜17:00(GW、よさこい祭期間中は時間延長あり)
休場日:12月26日〜1月1日
問い合わせ:高知城管理事務所 Tel:088-824-5701
所在地:高知県高知市丸ノ内1-2-1
アクセス:JR高知駅からバス約10分、とさでん交通・高知城前駅から徒歩約5分