時間や約束に縛られることもなく、
自由な旅をするかのように、気が向いた場所に足を運び、
雨の日には雨の京都を、曇りの日には曇りの京都を、
また晴れた日には晴れの京都を、写し撮ってみたい。(谷口哲)

シンメトリーなルネサンスの額から今春を見る。京都府庁旧本館

京都府庁旧本館は、明治37(1904)年12月に竣工し、昭和46(1971)年まで京都府庁の本館として、また現在も執務室として使用されています。日本人建築家による本格的西洋建築で、外観はルネサンス様式、内観は和の工芸品といった趣で、創建時の姿をとどめる現役の官公庁建物としては日本最古のものです。その中庭には6本の桜があり、春には多くの人々が訪れ、その美しい建築物とのコラボレーションを楽しんでいます。

ひとりじめ春爛漫。桂川河川敷

桂川は京都盆地を流れる京都最大の河川のひとつ。京都市左京区と南丹市美山町の境の佐々里峠に発し、亀岡盆地を経て保津峡〜嵐山を流れ、伏見区で鴨川を併せ、大阪府との境で木津川、宇治川と合流して淀川となります。平安時代の歴代天皇がこの川で船遊びをし、木材輸送の水運で賑わい、現在も四季折々に美しい姿を見せてくれます。その河川敷でのひとコマです。

誰と約束したのか毎日昇る朝日と毎年咲く桜。出雲路橋西詰

御所の北、下鴨神社の西側の、鴨川に架かる出雲路橋(いずもじばし)。北区と左京区の境となります。古代氏族・出雲氏が住み、出雲井於神社があったことがその名の由来だとか。古くは京都から鞍馬へ向かう街道の出入り口にあたり、京につながる街道の代表的な出入り口の総称「京の七口」のひとつで、鞍馬口、出雲路口ともいわれました。橋の上から、北に北山、東に比叡山、南東に大文字山などを望むことができます。

昼間のピンクも好きだけど、ゆっくりと夜に浸かっていくピンクも好き。祇園白川

比叡山から流れ来る白川のほとり、石畳に格子戸の町家が並ぶ祇園。言わずと知れた京都の人気スポットですが、特に桜の季節はその風情と相まって、えも言われぬ美しさを醸し出します。本数は40本程と多くはありませんが、ソメイヨシノのほか、しだれ桜にヤマザクラなどが、ほのかに揺れる料亭の灯りに浮かび上がり、白川のせせらぎ、しっとりと濡れた石畳、時折通り過ぎる舞妓さんの後ろ姿などが趣を添えます。