ドローンが捉えた全国の景勝地の風景をシリーズでお届けします。
今回は那須・塩原渓谷の風景です。

新緑の季節を待つ塩原渓谷

栃木県塩原市にある塩原渓谷。この塩原渓谷を形成する箒川(ほうきがわ)と人気の布滝の風景を3月下旬に撮影。
まず、ドローンは布滝を起点に低空で箒川を遡上。途中一気に120mの高さまで上昇し、塩原渓谷を鳥瞰。そして徐々に下降し、箒川の清流を捉える。
寂寥感漂う塩原渓谷も間もなく新緑の季節を迎える。(撮影日:3月24日)

<箒川>

那須塩原市西縁の山々に源を発し、塩原温泉郷を屈曲しながら東流する箒川。右岸側に聳える高原火山から噴出した溶岩が河川の発達にともない流れに削られて形成されたV字谷で、とくに中塩原から下流の関谷にいたる6㎞ほどを塩原渓谷といい、流れの中にいくつもの滝を落とし、淵をつくり、沿岸には巨岩奇岩を連ねて県下一の渓谷美を誇ります。

渓谷は季節ごとに両岸の樹々の装いに合わせて表情を変えますが、芽吹き時を前に樹々が活動を控えている今は、いささか彩り乏しく寂漠とした様相さえ漂わせます。それでも人々は、ところどころで飛沫をあげ、淀みなく激しく水踊らせる流れに、自然の悠久の営みを実感させられ、心洗われることでしょう。

“塩原十一湯”と称される温泉郷は開湯以来1200年余の歴史を有しますが、広く知られるようになったのは明治に入ってからで、道路が整備され、尾崎紅葉がその作品『金色夜叉』で主人公を当地に遊ばせ、この地の風光明媚を謳いあげて以降、文人墨客の訪れも増えました。

今、渓谷沿いには遊歩道が通じ、その風光明媚な自然をいっそう身近にできます。

文: 藤沼 裕司 Yuji Fujinuma

フリー編集者、記者。動植物、自然、歴史文化を主なテーマに活動。

音楽: 水城雄 Yu Mizuki

1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。