山、鉾、屋台などと呼ばれる山車(だし)が巡行する日本の祭り33件が、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。ここでは、祭り写真家の森井禎紹さんの写真とレポートで、その33件を北から都道府県別にご紹介していきます。
今回は、埼玉県の秩父夜祭り、川越祭り、千葉県の佐原の山車行事です。

秩父夜祭り(埼玉県)

日本三大筆記山祭り、秩父神社の例大祭で極彩色の彫刻で飾られた華麗でしかも重厚な笠鉾、屋台が名調子の屋台囃子に乗り、夜空を彩る花火の中で曳き廻される勇壮な祭りである。

初日は数台の屋台で町内を練り歩き宮入が行われる。

3日の本祭は、午前中より6台の笠鉾、屋台が曳き廻され、当番の屋台町では屋台芝居を公演する。

午後7時頃からがクライマックス。6台の笠鉾が御旅所に向かう。御旅所の手前の団子坂の引き上げに始まり、そのころ順次数千発の花火が打ち上げられる。屋台には多くのボンボンが取り付けられ、その華麗さは動く陽明門と呼ばれている。

開催日:12月2日、3日

開催地:埼玉県秩父市秩父神社

問い合わせ:秩父観光協会 Tel:0494-22-221

川越祭り(埼玉県)

氷川神社の例大祭で、江戸初期に松平信綱が神輿や獅子、太鼓などを寄進したことに始まる。

江戸時代は藩主の庇護の下、明治時代以降」は大商人を中心に神社の氏子達が力を合わせて祭りを行って来た。各町内が自慢の山車を曳き廻し、蔵作りの古い町並みを中心に氷川神社周辺を彩る。

江戸の流れを汲む警戒な祭り囃子と共に精巧な人形が飾られた美しい山車が引かれる。山車は見事で台座の上に二重の鉾を組み、上層の鉾の上に人形を乗せます。鉾の前面には欄間や唐破風のついた囃子台があり、台座から上の部分が水平に回転する回り舞台になっている。山車の数は21基に及ぶ。

開催日:10月第3土曜日・日曜日

開催地:埼玉県川越市氷川神社

問い合わせ:川越市広報室 Tel:049-224-8811

佐原の山車行事(千葉県)

佐原の大祭は夏と秋の2回行われる。夏は小野川を挟んで東側の本宿、八坂神社、秋は西側の新宿、諏訪神社の祭礼として行われる。山車は全部で24 台、山車の最上部には神武天皇や伊那岐命などの神像が飾られる。

佐原の祇園まつりは、利根川舟運で栄えた問屋職人が荷車に初穂を積み御幣を立てて神社へ運んだのが始まりとされている。そのため、今でも八日市場と仁井宿の氏子達は、繭で作られた巨大な鯉と鷹を台飾りとして伝え等レ手いる。

古い町並みの残る小野川沿いを行き交う山車の姿は佐原の特色を生かした見どころの一つである。

開催日:7月第2金・土・日(夏祭り)

10月第2金・土・日(秋祭り)

開催地:千葉県佐原市八坂神社、諏訪神社

問い合わせ:佐原市商工観光課 Tel:0478-54-1111

写真・文: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。