光に包まれた霧降高原の緑のスロープを低空で頂上まで一気に駆け上がる。頂上から、関東平野の雄大な景色を一望。そして、その景色を眼下に置いたまま、今度は同じ緑のスロープを静かに下降。霧降高原の自然景観を充分に楽しんだ後、静かに元の位置に戻る。霧降高原はもうすぐキスゲの満開時期を迎える。

関東平野の雄大な広がりが眼下に

日光表連山の東の外れに位置する丸山(1689m)南東斜面に、なだらかな緑のスロープが広がります。これが霧降高原です。ここはどこまでもおおらかで解放的、大きく視界が開け関東平野の雄大な広がりが眼下に迫ります。

そして何よりの魅力は豊かな植物相で、春から秋にかけて高原全域で入れ替わり立ち替わりさまざまな草花が咲ききそい、訪れる人を和ませます。 花暦は4月半ばのカタクリに始まり、5月には赤白のヤシオツツジが咲いて緑一色の草原に華やぎをもたらします。

そして6月中旬になると、いよいよ日光の花を代表するニッコウキスゲがいっせいに開いて斜面を埋めつくします。特にキスゲ平と呼ばれる小丸山一帯の大群落は壮観で、群落の中に遊歩道が通じていますので、花の香がとどくほどの近さで観賞できます。それにあわせて、オヤマリンドウやクルマユリなども見頃になります。

この貴重な草原はまったくの自然ではなく、毎年人々の手で草刈りが行われて維持されています。そんな努力もあって、高原全体では低地の草原から山地性まで100種類近い草花を見ることができます。ここは花ばかりでなく、キャンプやハイキングなども楽しめる高原リゾート地ですが、夏になると霧の発生が多く、霧降の名はそれに由来しています。

ミュージック: 水城雄 Yu Mizuki

1957年、福井県生まれ。東京都国立市在住。作家、ピアニスト。音読療法協会ファウンダー、現代朗読協会主宰、韓氏意拳学会員、日本みつばち養蜂(羽根木みつばち部)。
20代後半から商業出版の世界で娯楽小説など数多くの本を書いてきたが、パソコン通信やインターネットの普及にともなって表現活動の場をネットに移行。さらに2001年にみずから現代朗読というコンテンポラリーアートを打ち立て、マインドフルネスと音楽瞑想の実践を深め、2007年にはNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)と出会い、表現活動の方向性が確定する。表現と共感、身体と感覚、マインドフルネスと瞑想の統合をめざし、いまこの瞬間のナマの生命のオリジナルな発露をテーマに表現活動と探求の場作りをおこなっている。

文: 藤沼 裕司 Yuji Fujinuma

フリー編集者、記者。動植物、自然、歴史文化を主なテーマに活動。