四季の巡りと暮らしの節目に、神に祈り、祭りを行う。人々の熱き心、ほとばしる想いの瞬間を、写真家・森井禎紹が切り取ります。今回は毎年7月に愛媛県西伊予市で行われる御田祭りです。

豊作と無病息災を祈る奥伊予の奇祭

明治14年からの伝統行事。全身どろんこになって行う様子は奥伊予の奇祭として知られている。背中に御弊と幟を立てた、いずれも闘牛に出るかのような大牛10頭が代かき唄に併せて粗かきをする。

次いで泥田の中で渡の束や竹の束、杵などを持って若者が大豆を植える仕草をする。また、天狗の面を被った大番が神宮に泥をかけたり、突き落としたりする。神官は怒って3人がかりで大番を田に投げ込む。若者達は滑ったり転んだり、泥まみれになって大仰に取っ組み合いを演じて監修の喝采と爆笑を誘い、豊作と無業息災を祈願する。

御田祭り

開催日:7月第一日曜日
開催地:愛媛県西予市城川町三嶋神社
問い合わせ:城川町観光協会
tel :0894-82-1111

写真: 森井 禎紹 Teiji Morii

写真家。1941年生まれ。兵庫県三田市出身。1964年頃より趣味で写真を始める。写真コンテスト、カメラ雑誌月例コンテストに応募、入選回数362回を数える。1990年プロに転向、ライフワークとして日本全国の祭りを取材。『祭りに乾杯』『祭り旅』『祭り日』他多くの写真集を出版。現在、社団法人写真家協会(JPS)会員、一般社団法人二科会写真部常任理事、兵庫県写真作家協会最高顧問など。