日本では、かつて数多くの城が存在していました。しかし、建築された当時の天守がそのままの姿で残されているものは全国にわずか12城しかありません。そのほとんどは姿を消し、現在見ることができるのは新たに建設・復元されたものです。そんな現存天守は、長い歴史を積み重ねながら、今なお日本人の心に響く美しい姿を保ち続けています。
今回は、香川県丸亀市にある丸亀城(まるがめじょう)をご紹介します。
(写真提供: 丸亀市観光協会/丸亀市教育部総務課文化財保護室)

日本一高い石垣の上に建つ「石垣の名城」

丸亀城は1597(慶長2)年に豊臣家重臣の一人、生駒親正(いこまちかまさ)が築城を開始しましたが、一国一城令により破却され、その後、山﨑家治(やまざきいえはる)によって1643(寛永20)年から再建され、天守が完成したのは1660(万治3)年、京極高和(きょうごくたかかず)が藩主のときです。

現存天守の中では小規模ですが、標高66mの亀山を利用して山麓から山頂まで4重に重ねられた石垣の上に建つ姿は、実に風格あるものです。日本一高い石垣は全体をあわせれば60m、一番高い三の丸の石垣は22mもあります。高く美しい曲線が特長で「石垣の名城」とも言われています。

御殿表門から望む天守

算木積みされた美しい曲線をもつ石垣

「扇の勾配」とともに美しい姿を見せる天守

現在残る高石垣は山﨑氏によって築かれたもので、美しい曲線美を見せる石垣の上に建つ天守は風格のあるものです。3重3階の天守は、1重目の3面が下見板張になっており、あとは全て漆喰の白壁で、外観2層目の南北側に唐破風、3層目の東西側に千鳥破風で装飾し、北側3層目は格子付大窓で意匠を凝らしています。

天守各層の内側の壁は、鉄砲の弾丸を防ぐために厚い太鼓壁となっており、1階には狭間や石落としなどを備え、さらに戦の際に薄い壁を破って使用する隠し狭間も見ることができます。

自然石を組み合わせた荒々しい野面積み、美しく整えられた算木積みなど複数の積み方をした石垣を見ることができるうえに、その石垣が作り出す「扇の勾配」と風格ある天守は、丸亀市のシンボルとなっています。

小規模ながら風格ある天守

天守に備えられた石落としと狭間

隠し狭間となっている大砲狭間

<丸亀城>

別名:亀山城、蓬莱城(ほうらいじょう)

築城年:慶長2(1597)年

築城者:生駒親正(いこまちかまさ)

種類:平山城

主な遺構:天守、門、曲輪、石垣、堀

入場料:大人200円、小中学生100円

開場時間:9:00~16:30

休場日:無休(大手一の門は雨天時休)

問い合わせ:丸亀市観光協会 ☎0877・22・0331

所在地:香川県丸亀市1番丁

アクセス:JR丸亀駅から徒歩約10分

https://www.marugame-castle.jp